春日神社能舞台の建設に向けた取り組み
1.春日神社と能舞台
鹿伏村の春日崎に同社が建つのは慶長10年(1605年)だが、元和5年(1619年)には
現在の下戸に移され、4月5日の祭礼には神楽が奉納されました。
社前で能が奉納されるのは正保2年(1645年)からで、「春日神社能楽の沿革」によれば、
舞台は下戸町の甲賀六左衛門の寄進。「境内北側にあって東に向い、橋掛り・鏡ノ間などすべて本
式に作られた」とある。
佐渡での能舞台建立の最初の記事だが、出典はわからない。甲賀氏はおそらく有力商人の一人で
あろう。甲賀姓の者が相川に残っている。
4月5日の祭礼に奉納された春日神社の能については、正保3年から『佐渡風土記』に、連年に
わたって番組みおよび役者名が詳しく記載されている。
同年の記事に「4月5日春日神事能始ル」とあって、「翁」(三番叟)「志賀」(兵之丞)「清
経」(権太郎)「井筒」(権右衛門)「葵上」(次郎左衛門)「班女」(権右衛門)「項羽」(権
太郎)「祝言・高砂」とある。
また、「4月17日、大山祇神事能」とあって、番組みも記されているが、大山祇社の能はこの
年以降は掲載がない。
春日能は、幕末まで休みなく続いたわけではなく、享保9年(1724年)経費削減などから定
例能が中止になったり、「享保13年、本間右近が再興」とあり元の舞台をそのままに新しい能舞
台も建てられました。年々演能は盛んになり、桟橋を作り木戸銭をとるなどもしていたが、延享元
年(1744年)神事入用は各町内での奉納でまかなうこととなった。
また、「寛延元年阿部奉行のすすめで春日・大山祇社能楽再興」などとした記事がある。
その後も中止等を繰り返しながら演能は続いたが、明治2年(1869年)春日社祭禮は「官祭」
を停められた。(春日神社史料=徳川幕府では、春日神社の建築・修繕は勿論、年々の祭典も奉行
所により供進せられしも、明治維新後は総て官費を停められてより、能楽も自ら衰え後に能舞台も
風損や老朽化で倒壊するに至れりとある。)
能も自然に衰退し、大正6年(1917年)には能舞台再建のための協賛会設立の動きなどが報
じられた。
2.能舞台の建立
明治初期に老朽化により消滅した能舞台の再建が持ち上がったのは、7〜8年前のことである。
春日神社の氏子は奉行所の役人であり、現在はいない。また、近くに住む私たち住民は春日神社
の祭礼の記憶はまったくない。
私たちは、地域にある春日神社のお祭りを7〜8年前に始めました。4月5日以降の日曜日に、
宮司のお祓いをうけ折りで酒を酌み交わすだけの、お祭りです。
酒を飲みながら、春日神社の歴史を聞き、佐渡の能の発祥地で能舞台があったことや、平成17
年には春日神社建立400年を迎えることを知りました。
数年後には、酒の勢いで話がはずみ、400年祭に能舞台の建立との話が煮詰まりました。だが、
多額の費用が必要であること、佐渡の能舞台は神社に隣接しているため、神社の施設となり行政か
らの援助が受けられないことも知りました。
だが、羽茂・滝平集落の諏訪神社の氏子から、能舞台だけで現在は物置になっており雨漏りはす
るが、無償であげてもよいとの話がきました。
平成16年、資金のない私たちは、資金繰りから始めました。宝くじの補助で、集会場との名目
での申請は門前払い。佐渡市からの行政援助は、神社施設とみなされ補助対象にもなりませんでし
た。
たまたま、民間の補助で「大成建設自然・歴史環境基金助成」があることを知り申請し、100
万円の補助を受けることができました。
春日神社建立400年を迎えた、平成17年4月に「春日神社能舞台移設実行委員会」の設立を
する。
当初見積もり1,200万円から、補助金100万円を引く不足額は瓦1枚運動による寄付金で
まかなうことを決意し、実行委員会の運営・滝平との交渉・寄付運動の展開・建設計画を話し合い、
5月から瓦1枚運動を始めました。
会員は縁故・職場をたよりに寄付活動を行う。8月から解体作業を開始、運搬・整地と寄付に関
係なく作業は進んでいきました。この作業には、芝浦工業大学の学生たちの協力もありました。
建前は、秋空に恵まれた10月29日に行いました。前日には、会員総出で餅つきをし、建前に
花を添えました。
建築が進むわりには寄付が思うように集まらない状態のとき、請負業者の「イワイ工務店」から
「不足額はイベントでの返済で、何年かけてもよいから建設しよう」との力強い援護があり、工事
は進行しました。
平成18年4月、私たちの念願であった「平成の能舞台」は完成しました。
5月吉日。羽茂・滝平の諏訪神社の氏子を招待し、能舞台において竣工式を行う。
6月4日には竣工記念「薪能」の公演をしました。開演に先立ち「相川・大工町の太鼓」による
しめ縄を切り、門出を祝ってもらい、地元の謡い・鼓童・能の出演があり、約300名のお客さん
に堪能してもらいました。
8月13日は、アースセレブレーションプレイベント薪能公演。10月8日は薪能公演と、3回
の公演を実施し多くの観客の感動をよび、また地域の活性化に役立ったことと思います。
これまで、多くの方々からの寄付や、この事業に従事した業者の協力により、平成の能舞台は第
一歩を歩き始めました。
平成19年は6月10日と10月7日に薪能公演を、8月11日にはアースセレブレーションプ
レイベント薪能公演を開催しました。平成20年も6月22日と10月12日に薪能公演を、8月
19日にはアースセレブレーションプレイベント薪能公演を開催します。
能舞台の建設費については、当初見積もりから上回ること300万円の、総事業費1,500万
円となりました。
また、平成19年度待つの未払いは120万円で、今後もイベント事業や寄付活動を展開し維持
をはかり、地域の活性化に役立てたいと考えております。